道徳性の涵養は、世界中の教育者が取り組む普遍的なテーマです。しかし、その「評価」は常に難しい課題であり続けてきました。私たちは、この難題に対して日本の中学校で培われてきたユニークで効果的な実践を、世界の教育者と分かち合いたいと考えました。本書は、そのための私たちの挑戦です。
これは、日本の教室から生まれた「学習鑑賞ポートフォリオ」という評価手法を、海外の読者に向けて初めて体系的に紹介する、全編英語で書かれた書籍です。なぜ私たちが、この実践を世界に届ける必要があると考えたのか。その背景と本書の核心をお伝えします。
Assessing Moral Education with Learning Appreciation Portfolios: Features and Challenges
A practical guide to a new assessment method for moral education, developed and tested in Japanese junior high schools.
評価を「対話」に変える、日本の知恵
本書が海外の教育者にとって価値を持つと信じる理由は、そのアプローチの独自性にあります。私たちが提唱する「学習鑑賞ポートフォリオ」は、評価を教師から生徒への一方的な判断ではなく、生徒同士の「対話」と「相互鑑賞」のプロセスへと転換します。
生徒が「学習鑑賞シート」に学びを記録し、互いにコメントを交換する。この一連の活動は、生徒の内面的な成長を可視化するだけでなく、教室に共感と尊重の文化を育みます。これは、文化や言語を超えて、すべての教室で応用可能な普遍的な価値を持つと、私たちは考えています。
This approach transforms assessment from a moment of judgment into an ongoing process of dialogue and learning. It provides a concrete method for capturing the nuanced growth that is so central to moral education.
国際的な教育対話への貢献
本書は、日本国内の読者にとっては、自国の教育実践が持つ国際的な意義を再発見する機会となるでしょう。そして、海外の読者にとっては、日本の教育現場から生まれた、具体的で信頼性の高い評価手法を知る貴重なリソースとなります。
道徳教育の評価という世界共通の課題に対し、日本の実践がどのような貢献をできるのか。この本が、その国際的な対話を豊かにするための一助となることを、心から願っています。