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プロダクト開発記

匿名の進化 — なぜ、私たちは「所属」を選ぶのか

私たちのGakupo Universityには、かつて「参加者全員が、共通ID『123』を使う」という、ラディカルなルールが存在しました。それは、社会的ラベルから個人を解放するための、強力な実験でした。この航海日誌は、その思想が、なぜ、そしてどのように、現在の**「共通の『所属』を選ぶ」**という形へと進化したのかを記録する、もう一つの物語です。

進化の理由:匿名の中に「帰属意識」を

共通ID「123」は、完全な匿名性を実現し、心理的安全性を生み出す上で、絶大な効果を発揮しました。しかし、運用を続ける中で、私たちは一つの課題に直面します。それは、**「あまりに自由な匿名性は、時に、所属意識の希薄化を生む」**という事実でした。

参加者は、完全に自由で、安全です。しかし、自分がどの船(コミュニティ)に乗っているのか、その船がどこへ向かっているのか、という感覚が持ちにくい。そこで私たちは、思想の核心(匿名性)はそのままに、より良い形を模索し始めました。

新しい設計:共有される「所属」という名の港

個人の名前は明かさない。しかし、どの港(コミュニティ)に所属しているかは、全員で共有する。

これが、私たちの新しい答えです。ユーザーは登録時、個人の識別子(ID)ではなく、**プルダウンメニューから「Gakupo University」という共通の所属を選択**します。これにより、二つの価値が両立されます。

1. 個人の「匿名性」の維持

あなたの投稿は、あなた個人の名前とは決して結びつきません。社会的ラベルから解放された、絶対的な心理的安全性は、以前と何ら変わることなく、ここに保証されます。

2. コミュニティへの「帰属意識」の醸成

「Gakupo Universityの探求者」という、一つの旗の下に集うことで、参加者には「同じ船の乗組員である」という、穏やかな連帯感と帰属意識が生まれます。これは、対話をより豊かにし、コミュニティの文化を育む、大切な土壌となります。

結論:より洗練された、匿名性の形へ

「共通ID」から「共通所属」へ。これは、単なる仕様変更ではありません。完全な自由という第一段階から、**「目的を共有する仲間との、自由な対話」**という、より成熟した第二段階へと、私たちの思想が進化を遂げた証なのです。

私たちは、これからも対話と実践の中から、常により良い形を模索し続けます。この進化の物語自体が、Gakupo Universityが探求する「学び」そのものなのです。

灯台守(MASATAKA)のプロフィール写真

この記事の著者

灯台守

(執筆・監修:MASATAKA)

大創社 コンテンツディレクター / AI共創ストラテジスト

20年以上のWeb開発・翻訳経験を持ち、言葉とテクノロジーの両方を扱う創造的な専門家。翻訳家(2003-)として『孫正義名語録 情熱篇』などを手掛け、2013年に大創社を創業。

「評価」ではなく「鑑賞」を軸とした独自の組織開発手法の開発者(特願取得済)。心理的安全性と創造性を育む「学習鑑賞ポートフォリオ」を通じて、教育機関・企業の変革を支援。

現在はAI共創戦略により、書籍9言語同時展開を実現。日々の思索と対話を通じて、世界に眠る可能性を探求し続けています。

鑑賞ポートフォリオ AI活用戦略 組織開発 教育工学 多言語翻訳

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