もし、世界に自分たち以外の誰もいなくなってしまったら。もし、自分の仕事が、誰かに見られることも、評価されることもなくなったとしたら。あなたは、それでも働き続けますか?
『アポカリプスホテル』は、人類が滅亡した後の地球で、一軒のホテルを健気に運営し続けるロボットたちの物語です。「終末世界」という絶望的な舞台設定とは裏腹に、そこで繰り広げられるのは、どこまでも真面目で、シュールで、そして心温まる「お仕事コメディ」。本作は、働くことの根源的な意味を、私たちに問いかけます。
お客様は、いつか必ずいらっしゃいます。その日のために、完璧な準備をしておくだけです。
絶望的な状況で輝く、おもてなしの心
本作の鑑賞の魅力は、「世界の終わり」と「ホテルの日常業務」という、究極のギャップにあります。お客様が来るあてなどないのに、シーツを替え、床を磨き、完璧なサービスをシミュレーションし続けるロボットたち。その姿は、滑稽でありながら、あまりにも健気で、愛おしい。シャンプーハットの在庫がないだけで大騒ぎするなど、彼らのズレた生真面目さが、絶望的な世界観に温かい笑いを生み出しています。
彼らの行動を鑑賞することは、私たちに「仕事への誇り」とは何かを教えてくれます。誰かに評価されるからやるのではない。給料のためだけでもない。ただ、自分の仕事に誇りを持ち、完璧にこなすこと。その行為自体が、彼らにとっての存在意義なのです。
日常の尊さを、世界の終わりに見出す
私たちは、日々の仕事に追われる中で、つい「何のために働いているんだろう」と考えてしまうことがあります。しかし、『アポカリプスホテル』のロボットたちは、そんな問いに究極の答えを提示してくれます。
それは、「働くこと」自体が、日常を支え、心を支える、尊い営みであるということです。たとえ世界の終わりが来ても、変わらない日常がある。その安心感が、どれほど心を豊かにしてくれることか。この静かで優しい物語は、私たちが毎日繰り返している仕事の中にこそ、かけがえのない価値が眠っていることを、そっと気づかせてくれるでしょう。