物語は、時に、一つの作品だけでは完結しません。それは、10年以上の歳月をかけ、20を超える物語を紡ぐことで、ようやくたどり着ける、壮大なカタルシスの物語です。今日、光を当てたいのは、映画というフォーマットの可能性を再定義した、マーベル・シネマティック・ユニバースの集大成、『アベンジャーズ/エンドゲーム』です。
この映画の感動は、この一本だけで生まれるものではありません。それは、私たちがこれまでの作品で見てきた、ヒーローたちの勝利と敗北、喜びと悲しみ、その全ての記憶の上に成り立っています。
「アッセンブル!」その一言に、私たちはなぜ涙するのか。それは、この瞬間に至るまでの、ヒーローたち一人ひとりの長く、険しい「プロセス」を、私たち自身がずっと鑑賞し続けてきたからに他なりません。
「物語の積み重ね」という壮大なプロセス
この映画を「鑑賞」するとは、10年以上にわたる壮大な「プロセス」そのものを味わうことです。アイアンマンの誕生から始まり、キャプテン・アメリカの正義、ソーの成長、そしてガーディアンズたちの冒険。それら一つ一つの物語が伏線となり、この最終決戦という「結果」に、とてつもない深みと重みを与えています。
ヒーローたちが過去に戻り、自らの物語の原点を再訪するシーンは、この映画の構造を象徴しています。それは、過去のプロセスがあったからこそ、現在の選択があるのだということを、私たちに示しています。個々の物語へのリスペクトと、それを一つの大きな流れに結実させる手腕は、まさに圧巻です。
なぜ今、この物語に触れるべきなのか
すぐに結果が求められる時代において、この物語は、長期的なビジョンを持ち、時間をかけて何かを成し遂げることの価値を教えてくれます。一つのプロジェクト、一つのチームが、10年という歳月をかけて、これほどまでに一貫した世界観を構築し、世界中の人々を熱狂させた。その事実自体が、私たちに大きな勇気を与えてくれます。
個々の努力や挑戦が、いつか大きな物語の一部となり、最高の形で結実する日が来るかもしれない。この映画は、そんな壮大な希望を、最高のエンターテインメントとして私たちに見せてくれたのです。