もし、あらゆる病や苦痛から解放される薬が存在したら、世界はどうなるでしょうか?『カウボーイビバップ』の渡辺信一郎監督が手掛ける最新作『LAZARUS ラザロ』は、そんなSF的な問いを、緊迫のテクノスリラーとして描き出します。これは、ユートピアの仮面を被ったディストピアの物語です。
究極の幸福は、究極の絶望と地続きなのかもしれない。
「科学の進歩」と「倫理」の狭間で
本作を「鑑賞」する上で中心となるのは、「科学の進歩は、常に人間を幸せにするのか?」という根源的な問いです。AIや生命科学が、私たちの想像を超える速度で進化していく現代。この物語が描く「幸福の代償」は、もはや絵空事ではありません。スタイリッシュな映像と音楽、先の読めないサスペンスフルな展開の中に、私たちは制作者からの鋭い警告を読み取ることができます。
エンターテインメントが突きつける、未来への問い
『LAZARUS ラザロ』は、私たちに極上のエンターテインメント体験を提供すると同時に、未来に対する深い思索を促します。便利さや快適さを追求した先に、私たちは何を失う可能性があるのか。この物語は、テクノロジーと共存していく未来を生きる私たちにとって、避けては通れない倫理的な課題を、鮮烈な映像と共に突きつけてくるのです。