一個人の純粋な情熱は、複雑に利害が絡み合う「社会」という巨大なシステムの前で、果たして意味を持つのでしょうか。清い理想は、現実の壁の前に、無力なのでしょうか。今日、光を当てる物語『キューティ・ブロンド2/ハッピーMAX』は、その問いに、満面の笑顔とピンクのスーツで「NO」を突きつけます。
この物語の魅力は、前作の楽しさをそのままに、主人公エル・ウッズの挑戦を、個人の成功から社会的な変革へとスケールアップさせた点にあります。私たちは、愛犬の母親を救うという、ささやかで、しかし彼女にとっては絶対的な正義のために、アメリカの政治の中心地ワシントンD.C.に乗り込んでいく彼女の無謀な挑戦を「鑑賞」することになります。
政治の世界の常識や、大人たちの冷笑的な態度。そんな「灰色の壁」に、彼女は自分らしさという鮮やかなピンク色で、たった一人で立ち向かっていきます。その姿は、滑稽で、しかし、どこまでも気高いのです。
「理想論」を、現実に変える力
当初、エルのやり方はまったく通用しません。根回しや、政治的な駆け引きがすべての世界で、彼女のまっすぐな言葉は「青臭い理想論」として、誰にも相手にされません。しかし、彼女は決して諦めない。自分の信念を、相手の心に届くまで、手を変え、品を変え、伝え続けるのです。
私たちがこのプロセスを「鑑賞」する時、心を打たれるのは、彼女が、自分と違う意見を持つ人々を「敵」として切り捨てないことです。彼女は、相手の立場を理解し、共感できる部分を探し、粘り強く対話を試みる。その誠実な姿勢こそが、やがては老獪な政治家たちの心をも動かす、最強のロビー活動となっていくのです。それは、真の変革とは、相手を論破することではなく、相手を理解し、味方につけることから始まるのだと教えてくれます。
なぜ私たちは、彼女の挑戦に勇気をもらうのか
「どうせ自分が何かしたって、何も変わらない」。大きな問題に直面した時、私たちはつい、そんな無力感に囚われてしまいがちです。
しかし、この物語は、そんな私たちに力強く語りかけます。どんなに小さな声でも、それが誠実な信念から生まれたものであれば、必ず誰かの心に届き、やがては世界を動かす力になるのだと。この映画がくれるのは、ただのハッピーな気分だけではありません。それは、明日から、自分の持ち場で、もう少しだけ社会を信じてみようと思えるような、温かくて力強い、本物の勇気なのです。