落ちこぼれの忍者少年が、やがて里の英雄になる。王道の物語でありながら、『NARUTO-ナルト-』が、なぜこれほどまでに世界中の人々の心を打ち、そして今なお『BORUTO-ボルト-』へと、その魂が受け継がれているのでしょうか。これは、二つの世代にまたがる、壮大な「意志」の物語です。
まっすぐ、自分の言葉は曲げねぇ。それが、俺の忍道だ。
『NARUTO』——憎しみの連鎖を断ち切る物語
私たちが『NARUTO』で「鑑賞」したいのは、友情・努力・勝利という少年マンгаの王道だけではありません。本作が真に偉大であるのは、「憎しみの連鎖」や「平和とは何か」といった、極めて重厚なテーマに、正面から向き合った点にあります。里の英雄である父を持つがゆえに孤独だったナルト。一族の復讐に生きたサスケ。彼らの物語は、敵にもまた守るべきものがあり、それぞれの正義があるという複雑な現実から目を逸らしません。それでもなお、対話を諦めず、平和への道を模索し続けた物語は、私たちに深い思索を促します。
『BORUTO』——平和な時代に生まれた、英雄の息子の葛藤
そして物語は、息子たちの世代『BORUTO』へと受け継がれます。父たちが築いた平和な時代に生まれた子供たちは、親の偉大さを前に、何を目指し、どう生きるのか。新たな葛藤が、そこに生まれます。「火影の息子」というレッテルに反発し、父とは違うやり方で自分の存在を証明しようとするボルト。その姿は、偉大な親を持つがゆえの、現代的な苦悩を映し出しています。
親子二代にわたる物語を追体験することは、時代の変化と、それでも変わらずに受け継がれていく「火の意志」の尊さを、私たちに教えてくれるでしょう。これは、単なる続編ではない、もう一つの「NARUTO」であり、新しい時代を生きる私たち自身の物語でもあるのです。