闇が深く、人と妖の境界が曖昧だった時代。都で起こる奇怪な事件を、笛の音と共に解決する一人の男がいた。その名は安倍晴明。Netflix版『陰陽師』は、夢枕獏の描く妖しくも美しい世界を、現代的な映像美で見事に再現した、大人のためのダークファンタジーです。
闇が深ければ深いほど、星は、より一層輝く。
悪を滅するのではなく、心を救う
私たちが本作で「鑑賞」したいのは、晴明の華麗な術や、妖たちの恐ろしさではありません。注目すべきは、晴明の「物の怪」に対する向き合い方です。彼は、ただ妖を退治するのではなく、なぜそれが生まれなければならなかったのか、その背景にある人間の悲しみや、どうしようもない業を理解し、その心を救済しようと試みます。それは、善悪二元論では語れない、世界の複雑さを受け入れる、深い優しさの表れです。
闇の中に、光を見出す
本作が描くのは、人間の心に潜む「闇」です。しかし、物語は決して絶望だけでは終わりません。どんなに深い闇の中にも、必ず一筋の光はある。晴明と博雅の友情や、事件を通して描かれる人々の心の機微は、私たちに、人間の持つ弱さと、そして同じくらいの強さと美しさを教えてくれます。この物語は、あなたの心に、静かで深い余韻を残すことでしょう。