私たちは、誰かから何かを受け継いで生きています。親から、師から、あるいは物語から。では、その受け継いだものを胸に、私たちはどう生きるべきなのでしょうか。そもそも、「正しく生きる」とは、一体どういうことなのでしょうか。
『最果てのパラディン』は、安易なチート能力や逆ハーレムといった、昨今の異世界ものの流行とは一線を画す、重厚で王道のハイファンタジーです。主人公のウィルは、前世の記憶を持ったまま、三人のアンデッド—豪快な骸骨の剣士、淑やかなミイラの神官、偏屈な魔法使いのゴースト—に育てられます。この異色の「家族」の物語は、私たちに血の繋がりを超えた愛と、意志を継ぐことの尊さを教えてくれます。
行って、坊や。あんたの人生を、生きておいで。
愛と祈りが込められた、旅立ちの物語
本作の鑑賞において、序盤のウィルと三人の親とのエピソードは、涙なしには語れません。彼らは、ウィルに知識や技術だけでなく、深い愛情を注ぎ込みます。そして、ウィルが旅立つ日、彼らは自らの存在理由を全うし、消滅していくのです。この、あまりにも切なく、しかし温かい親離れの儀式は、本作が単なるファンタジーではなく、普遍的な家族の愛と喪失を描いた物語であることを、私たちに強く印象付けます。
育ての親たちの意志を受け継ぎ、神との契約を交わして旅立つウィルの姿を鑑賞することは、まるで我が子の成長を見守るような、厳かで、誇らしい気持ちにさせてくれるでしょう。
答えのない問いを、それでも求め続ける旅
「正しく生きる」という問いに、唯一絶対の正解はありません。ウィルもまた、旅の途中で様々な困難や矛盾に直面し、自らの正義に悩み、葛藤します。しかし、彼は決してその問いから逃げません。育ての親たちから受け継いだ教えと、自らの経験を頼りに、一歩ずつ、誠実に答えを探し続けます。
そのひたむきな姿は、複雑化する現代社会で、何が正しいのかを見失いがちな私たちに、大切なことを思い出させてくれます。答えが見つからなくても、問い続けること。それ自体が、人間が「正しく生きよう」とする、尊い営みなのかもしれません。骨太で、心に深く残る物語を求めているなら、ぜひこの灯火の騎士の旅路を見届けてください。