「評価」について語ることは、教育の根幹を問うことです。私たちは、単なる評価手法の改善ではなく、その背景にある「原理」そのものに光を当てることから始めなければならないと考えました。なぜなら、評価観が変わらなければ、教育の実践は本質的には変わらないからです。
本書は、私たちが提唱するすべての教育活動の思想的基盤であり、「学習評価とは何か」という問いに対する、私たちの原点となる答えです。
『学習の質的向上につながる学習評価の原理と方法』
児童が主体的に輝くための、新しい評価のカタチ
評価の主体を、教師から「児童」へ
本書の核心は、評価の主体を教師から児童へと転換することにあります。従来の評価が、教員から児童への一方的な価値判断であったとすれば、私たちが提案するのは、児童自身が評価のプロセスに主体的に関わる「学習評鑑アセスメント」です。
子どもたちが自ら目標を設定し、評価基準を作り、自己評価や相互評価を行う。このプロセスを通じて、子どもたちは「評価される」客体から、評価を自らの学びに活かす「主体」へと変わります。評価は、もはや恐れるべきものではなく、自らの成長を実感するための強力なツールとなるのです。
真の学習評価とは、子どもの学びを測定し、序列化することではありません。子ども一人ひとりの「学びたい」という内なる炎を絶やさず、その輝きを最大限に引き出すための、伴走者であるべきです。
すべての実践は、この「原理」から始まる
私たちが後に提唱する「学習鑑賞ポートフォリオ」や、道徳科での具体的な実践も、すべて本書で示された「学習評価の原理」に基づいています。本書は、具体的な実践例を詳述するハウツー本ではありません。むしろ、そうした実践の根底に流れる思想と哲学を深く理解するための、いわば「羅針盤」となる一冊です。
なぜ、私たちは「鑑賞」という言葉にこだわるのか。なぜ、ポートフォリオが単なる作品集であってはならないのか。その答えは、すべて本書の中にあります。
日々の評価業務に追われ、その本質的な意味を見失いそうになっている、すべての教育者の方へ。そして、点数だけでは測れない子どもの真の成長を願う、すべての保護者の方へ。この本が、教育の原点に立ち返り、未来への希望を見出すための一助となることを、心から願っています。