「評価」という言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。点数、順位、優劣……。私たちは、教育現場における「評価」が、いつの間にか子どもたちの間に競争を生み、互いを尊重し合う文化を損なう一因になっていないかと、長年問い続けてきました。本書は、その問いに対する私たちの一つの答えです。
これは、冷たい判断としての「評価」を、互いの価値を認め、感謝し合う温かい営み、すなわち「鑑賞」へと変えるための、具体的な挑戦の記録です。
『学習鑑賞ポートフォリオの教育現場における有用性』
評価が「認め合い」と「感謝」に変わる
中核概念「学習鑑賞(appreciate)」とは何か
本書の根幹をなすのが「学習鑑賞」という考え方です。これは英語の "appreciate"(価値を認める、感謝する)に由来します。単に成果物の出来栄えを判断するのではなく、そこに至るまでのプロセス、込められた工夫や努力、仲間との関わりの中で生まれた気づき。そのすべてを「価値あるもの」として認め、肯定し、感謝し合う営みです。
ポートフォリオは、この「学習鑑賞」を実現するためのキャンバスとなります。それは単なる作品ファイル置き場ではありません。子どもたちが自らの学びを味わい、仲間と互いの成長を喜び合うための、対話のツールなのです。
教室が、点数で評価される場から、互いのユニークな価値を「鑑賞」し合う場へ。その変化こそが、子どもたちの自己肯定感と、温かい人間関係の土台を育むと、私たちは信じています。
ポートフォリオを「関係作りのツール」として使う
「ポートフォリオを導入したが、結局活用しきれていない」。そんな声もよく耳にします。本書は、そうした現場の悩みに応えるため、具体的なノウハウと実践事例を豊富に盛り込みました。
例えば、子どもたちが主体的に自分の学びを振り返り、記録するための具体的な方法。あるいは、仲間と建設的なフィードバックを送り合うための、声かけのヒント。本書を読めば、ポートフォリオが単なる作品集から、クラスの絆を深めるための強力なツールに変わるはずです。
この本は、小難しい理論書ではありません。子どもたちの間に温かい関係を育みたいと願う、すべての先生方への、実践的なガイドブックです。この一冊が、あなたのクラスを、子どもたちの笑顔と成長を後押しする、温かい場所に変える一助となることを心から願っています。