子どもの学習成果を前にしたとき、私たちはつい「できていないこと」に目を向けてしまいがちです。「ここが間違っているよ」「もっとこうすれば良くなるのに」。その言葉は、子どもの成長を願う親心や教育者としての情熱から生まれるものかもしれません。しかし、そのまなざしが、かえって子どもの学ぶ意欲の芽を摘んでしまっているとしたら、どうでしょうか。
本書は、その根源的な問いから出発します。そして、「評価」という名の呪縛から子どもたちを解放し、学びの喜びそのものを取り戻すための、新しい視点「学習鑑賞」を提案します。
『創価教育学の実践 ―“偏差値”から“幸福”へ、「学習鑑賞」という新しいかたち―』
子どもの自己肯定感を育む、価値発見のアート
「評価」から「価値発見」へ、視点の革命
学習鑑賞とは、テストの点数や正誤といった結果で判断するのではなく、子どもの学習プロセスや成果物の中に、その子ならではの「工夫」「挑戦」「発見」といった価値を見出し、それを言葉にして伝えるコミュニケーションです。
それは、単なる「褒める」こととは一線を画します。大切なのは、大人の基準で良し悪しを判断するのではなく、子どもの世界に寄り添い、その試行錯誤のプロセスそのものを敬意をもって見つめることです。
解答用紙の余白に描かれた小さなイラスト、少し不格好だけれど一生懸命に書かれた文字。その一つひとつに、子どもが世界と向き合った軌跡が刻まれています。その軌跡に光を当てることが、鑑賞の第一歩です。
自己肯定感という、すべての学びの土台
「自分の学びには価値がある」「試行錯誤するプロセスは面白い」。学習鑑賞を通じて、子どもたちはそのような実感を得ていきます。この「学習に対する自己肯定感」こそが、生涯にわたって学び続けるための最も重要な土台となります。
自分の学びを鑑賞してもらった子どもは、他者の学びを鑑賞する視点を自然と身につけていきます。教室や家庭が、互いの挑戦を認め合い、学び合う「ピア・ラーニング」の場へと変わっていくのです。
この本は、子育てや教育に携わるすべての人に贈る、視点の転換のためのガイドブックです。この一冊が、あなたと子どもたちの間に、温かく、信頼に満ちた「学びの対話」が生まれるきっかけとなることを、切に願っています。